社名(株)T.I.P.ビジネス デザインに思うこと^^
昨夜、韓国から戻り、翌朝はいつも早くオフィスに行きます。何故かといいますと、毎日読んでいる日経、朝日、毎日、日経MJが10日分溜まっているからです。10日分というと40紙を一気に読むことになり、朝8時頃から読んでもいつも8時間ぐらいかかってやっと読み終わるのです。日本にいなかった10日間を一気に穴埋めしよう焦りながら・・・世の中の大きな流れを知らずしてコンサルタント業は務まりません。1日4紙分を時間換算すると48分、1紙にかける時間はたった12分になります。8時間と言っても項目と、見出しを斜め読みして興味のあるところを読み込むと言った具合で、実はたいしたことはありませんが、読み終わったときはそれなりの達成感が味わえ、頭の中がリフレッシュされた感じになります。今日は仕事の予定を余り入れなかったこともあって、残り時間をたまには自分の会社のことを考えてみようと思います。
(株)T.I.P.ビジネスデザインというのが私の会社名です。今思えばなんとまあ、長ったらしくてわかり辛いのでしょう。会社名を考えるに当たって、もし私が意見を聞かれたら、多分このような長くて覚え辛く、意味不明の社名は絶対止めなさいというでしょう。ただこれは私の会社人生で何が大事なのか学んだことを頭文字にし、ビジネスデザインは自分の会社経営に対する思いを込めているので、こうせざるを得なかったのです。
まずは頭文字のT、これはチームワークのTです。最近、私の顧問先や新聞、雑誌を見ていると、現業部門(営業部門といっても良い)と管理部門の意思の疎通も無くバラバラに動いていることがよくあります。例えば、企画開発で考えていることが、現業である生産部門になkなか真意が伝わらないとか。チェーンストアにおいては本部の方針が現場に伝わらず、指示通り動く店舗と全く動かない店舗2通りに分かれるのです。また同じ現業部門なのに、部や課が分かれると協力し合わない、ひどくなると足の引っ張りあいまでしているところをよく見かけます。
このチームワークについて、私がTDLのアドベンチャーランド・ウエスタンランドのマネージャーだったときのの良い事例があります。
「8月の暑ーい日、あるお店に女子高校生数人のグループが食事に来ました。テラスからはバンド演奏が聞こえ、また女子高校生たちも楽しそうに笑い、食事をし、また園内を楽しもうと出て行きました。その2時間後、午後3時を回った頃だったでしょうか。慌てて戻ってきて、ここに歯の矯正具が無かったかというのです。当時1時間待ちが当たり前でしたので、彼女たちが座った席もその後何組かのお客様が座り、洗い場周辺の生ごみを入れるトラッシュ缶、使い終わった布ナプキンをいれるリネン容器、テーブルマット他のペーパープロダクトを捨てる容器、何処を探しても見当たりません。あのころ客席が1回転するのに約30分でしたから、2時間とすると4回転している計算になり、1000人以上のお客様をお迎えしている計算になりますので、ごみはもうバックステージにある「生ごみ置き場」だろうということになり、探しに行くことにしましたが、忙しい最中、人がいません。そこでお店の手が空いているキャストをまず行かせました。ついで管理部門で事務をしていた人に声をかけ探していましたら、カストーディアル(お掃除係)の人も私たちが手伝いましょうと言ってくれ、更には生ごみを搬送する運転手さんたち皆が協力してくれ、総勢十数人になったでしょうか、生ごみを掻き分けて探しました。夏の暑い最中でしたので生ごみは異臭を放っていますし、汗だくです。探すこと2時間、何トンもあるごみの中から歯の矯正具が出てきたのです。やったー!!破顔一笑、皆の顔が満足感に包まれています。女子高校生たちにはお店を探しても見当たらないので、心当たりのところを探してみますと言いましたので、夕方5時半頃でしょうか。お見えになりました。見つかった歯の矯正具を見て喜んだのは言うまでもありません。勿論、裏で皆が大変な思いをして探し続けたことは知りませんが・・・」
この喜ぶお客様の笑顔のためにキャストたちは一丸になったのです。この自分の部署の人間のみならず、ゼネラルサービス部のカストーディアルの人、おまけに外注業者さんまで一緒になってゲストのために探してくださったこと、チームワークというのはある目的遂行のために同じ部・課内は当然ことながら、部門を越えて、会社が一丸となって助け合い、努力し合うことなのだと思います。それでは何故皆で助け合い協力し合うことができたのでしょうか・・・それはゲストの喜びのために、幸せのためにというキャストの使命が全員で共有されていたことに他なりません。ただチームワークといっても中々ここまでできるものではありませんがこの同じ使命や価値観の共有がこのような結果をもたらすのです。
次のIです。
このIはイノベーション(改革)です。
中小企業においては経営者自らがこのイノベーションの実践者でなければなりませんし、大手企業においては中間管理職である部長・課長が経営者の意思・思いを受けて自らがリーダーシップを持ってこのイノベーションを行っていかなければ、厳しい競争社会で生き残れません。この21世紀に入り情報基盤が更に高度化され、瞬時に何でもわかる時代には意思決定のスピード化、そして時代に適合したすばやい行動が取れなければビジネスに勝てないということです。一度作り上げたシステムが20年、30年と使えた時代は昔の話、作り上げたと思ったら、又すぐ新たなことに着手しないと時代に即応した生き方ができませんし、休んだら負けというのが21世紀です。
これもTDLを例に挙げ説明したいと思います。
ひとつはチケットシステムです。皆さんの記憶にまだあるかもしれませんが、15年ほど前はまだ、「ビッグ・10」といい、Aチケットの100円券からEチケットの400円券まで10枚綴りのチケットが主流でした。パスポートもあったのですが、多くの方が安かったせいもあったのかこちらのチケットを購入していました。それを2001年4月以降今のように全て「パスポート」に一本化しました。何故なのでしょうか。当時を振り返りますと、他にも入園券がありました。これは入園してショーやパレード一部の乗り物を楽しめるチケットです。アトラクションを利用したければ、中でA券やE件を買えば乗れるわけで、あまりアトラクションには乗らないという方にはこれはこれで便利だったのではないかと思います。実はこの制度がゲストの待ち時間をとても長くしていたのです。チケットを購入する際もゲート前に並んだ何万人ものゲストに全ての券種の説明をしなければなりません。朝早く来て開門を待つゲスト、それなのに、さらにチケットを買うだけで1時間待った、2時間待ったというゲストが毎日のように、クレームになります。更に、園内に入っても各アトラクションの前でチケットの日付、券種の確認を行いますので、ここでも待ち時間が発生してしまいます。ゲストにとってもこのアトラクションの券種は何だと一々事前確認しなければなりませんから、煩わしいことになります。パーク側にとってはゲストに快適に、如何に待ち時間を少なくするかは絶えず考えなければならない命題なのです。これを解消するためにチケットの1本化を図ったわけです。これは簡単なことではありませんでした。様々な議論をした上で踏み切ったのですが、既に行き渡っている未使用のA券からE券、これらは全て金券、おまけにこれが全国に及んでいますから、買い取らなければなりません。関係者の数年がかりの大変な努力であのパスポートの一本化がなされたのです。(今のパークは当時と違い3100万人が訪れる時代、オリエンタルランド社においてはまたまた混雑緩和のための努力をしているに違いありません。)チケット購入という聞くと簡単なようですが、時代に即応させイノベーションを行ってきたことの一例だと思います。他にも待ち時間解消のために「ファーストパス」を導入しました。これも何年もかけた議論の末、人気アトラクションの混雑緩和に一役買っています。これはゲストがチケットに明示された時間に行けば5分と待たずに乗れるもので、ゲストにとっては待たずに済み、その時間を買い物、食事また他のアトラクションやショーを楽しむ時間に費やすことができます。多くのテーマパークがTDLの例を真似ているように、これもイノベーションの一つと言って良いでしょう。他にも宅配センターのように時代の要請にあわせて新たなサービスを加えたり、絶え間ない革新が進められているのです。
時代に運営や経営のしくみを変える、これもイノベーションですが、目立たないイノベーションもあります。私が在籍していたフード部門でもチュロス、餃子ドッグもアトラクションやショーを楽しみたいというゲストには大変好評で、ディズニーへ行ったらあれを食べなくては、というヒット作になりました。これもゲストにパーク内をワンハンドで楽しんでもらいたいということで従来とは違った目線で、関係者たちが何ヶ月もかけて作り上げたものです。
そして今や様々な種類のポップコーンバケツがパーク内に生まれていますが、ポップコーンもただ召し上がってもらうだけでなくその容器を記念に家に持って帰り、楽しかった思い出を再度噛み締めてもらいたいという思いから生まれました。当初はただ単なるバケツでしたが、それではゲストの両手が塞がり、持ち辛いということでショルダーを開発し、それが今のような形になっています。小さなことかもしれませんがこれらも従来と違った目線で開発したということでは革新=イノベーションといえるのだろうと思います。
私たちの日常作業は改善の連続ですが、時には発想を根本的に買え、新たなことにチャレンジするこれがイノベーションです。これも根本に流れるのは「お客様の楽しみのため、喜びのため、幸せのため」に自分たちが如何に変わるのか問われているのだと思います。これが大企業であればミドル・マネジメントに求められた「リーダーシップを持って遂行するイノベーション」であり、中小企業では経営者に求められる要件になります。
最後のPです。
このPはパッション(情熱)です。
経営者は情熱を持って自分の会社に対する「理念」「哲学」「思い」を情熱的=パッションに語れということです。よく目の前の「売上を上げろ、利益を確保しろ、お客を獲得して来い」という人がいますが。目の前の売上利益しか言わない会社はお客様のため、人のため、会社のためという意識は無くなり、会社の業績が悪くなれば会社を去っていきますし、ましてや企業にとって大事な部下の育成なんてしません。
ウォルト・ディズニーはゲストにとって何が必要か、何を求めているのか、どうしたら喜ばれるのか、そのため絶えず他には無いもの、独自のもの、新しいことに挑戦し続けました。彼にとってお客様に喜んでもらうことが生きがいであり、夢であったのです。売上利益を上げろなんて一言も言ったことありません。ですから、ひとつの作品を作るためにとてつもない労力をかけ、おかねをかけましたので、ヒットしたときは良いのですが、そうでなかったときは大きな借金を抱えました。特に、1937年の「白雪姫」の成功以降はあれだけ時間とお金をかけた「ピノキオ」「ファンタジア」「バンビ」は思ったよりお客様が入らず、金策との戦いが続いています。そして、1940年代後半になりますと、今までのアニメーションの2次元の世界に限界を感じていたウォルトはカリフォルニアに「ディズニーランド」を作ることを決意します。アニメーションでは一度作り上げるとさらにより良くしようと思っても手直しができませんが、3次元の世界なら一度作り上げても、さらにより良いものに手を加えることができます。そこでテーマパークを作ろうと決心したわけです。(実はウォルトが何故ディズニーランドを作ろうとしたのか、諸説があり、判っていませんが、私はそう思うのです。)その頃もウォルトディズニープロダクション社はお金があったわけではなく、銀行からお金を借り、その返済のためにディズニーランドの宣伝をかねたテレビに出演したほどです。この利益を上げるためで無くディズニーランドの成功のために出演したこのテレビのディズニーランドのショーが予想外の人気になり、
私が小学生のころに日本でもテレビで放映されました。そしてやっと1955年にディズニーランドができるのです。
このころ、ウォルトは「夢は大きく、夢が枯れては駄目だ」と言い続けています。ウォルトのことを「浪費家」という人もいますが私はそうは思いません。借金を恐れず、挑戦し続けたからこそ、ウォルト亡き後のウォルトディズニーカンパニーが488億ドルの売上を誇り、15万人が働くエクセレントカンパニーになったのだと思います。
私は事業家として尊敬できる1人としてオリエンタルランド社の社長だった故「高橋政知」さんも見てきました。この方も東京ディズニーランドを作るのに一時期、自分の渋谷の邸宅を抵当に入れて、従業員の給料を払ったり、おんぼろ会社で無名のオリエンタルランドにお金を融資してもらおうと銀行の協調融資団を作るために奔走をしたり、数々の反対を押し切り、東京ディズニーランドを作ってきました。この方は「徹底的に良いものを作れ!!アメリカより良いものを作れ!!金のことは気にするな!!」と言い続けていました。お陰で我々は安心して仕事に没頭できたわけです。お世辞にもクリエイティブな方ではなく、「俺は意地でこのパークを作り上げてきた」とおっしゃっていたけれど、たまにパークでアイスクリームを食べながらゲストの喜ぶ姿を嬉しそうに見ている高橋さんを見かけると、大きな安心感で胸いっぱいに広がったことを今でも覚えています。ウォルトと高橋さんは比較することはできないけれどひとつのプロジェクトのためにどんな困難があっても情熱を持って自ら諦めず、挑戦し続けたという点では共通していると思うのです。
この続きはまた・・・^^